止水板の設置には1か所あたり5万〜150万円、住宅全体のかさ上げリフォームには300万円〜1,000万円以上の費用がかかります。自己資金だけで賄うのは難しいため、被災後は「被災者生活再建支援金」(全壊は最大300万円、中規模半壊でも加算支援金として最大100万円)や自治体の止水板設置補助金、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資などを組み合わせるのが現実的です。なお、この支援金には申請期限(基礎支援金:災害発生日から13か月以内、加算支援金:災害発生日から37か月以内)が設けられているため、早めの手続きが欠かせません。本記事では工法別の費用感と、リフォーム費用を軽減できる支援制度を整理します。
水害に強い家づくりの主な工法と費用相場
水害対策は「水を入れない(止水)」「浸水しても被害を減らす(減災)」「浸水位置を上げる(かさ上げ)」の3つに大別されます。予算と敷地条件に応じて組み合わせるのが基本です。
①止水板・止水シートの設置
玄関や勝手口、車庫の開口部からの浸水を防ぐ最も導入しやすい対策です。設置範囲や素材によって費用が大きく変わります。
| 工法 | 特徴 | 費用目安(1箇所あたり) |
|---|---|---|
| 簡易止水板(アルミ・樹脂製、はめ込み式) | 浸水時のみ手動設置。DIY設置も可能 | 3万円〜15万円 |
| 固定式止水板(工事費込み、間口2m程度) | レール・受け金具を常設し、緊急時に板を差し込む | 20万円〜50万円 |
| 防水扉・自動止水パネル | 水圧で自動的に閉まる高機能タイプ | 50万円〜150万円 |
| 止水シート・簡易土のう(水のう) | 応急的な対応。恒久設備ではない | 数千円〜3万円 |
②防水塀・止水コンクリート壁
敷地の周囲を囲う工法で、広範囲の浸水を防げますが基礎工事が必要になるため費用は高めです。延長10mあたり100万円〜300万円が目安です。
③住宅のかさ上げ(嵩上げ)リフォーム
既存の建物を持ち上げて基礎を高くする「曳家(ひきや)工法」や、盛土をして基礎から作り直す方法があります。構造や規模により費用差が大きい点に注意してください。
| 工法 | 内容 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 曳家+基礎かさ上げ工法 | 木造住宅を一時的に持ち上げ、基礎を高くして戻す | 300万円〜800万円 |
| 盛土によるかさ上げ | 敷地全体に土を盛り、地盤面を上げる | 1㎡あたり1万円〜3万円(土地面積による) |
| 新築・建替時の高床工法 | 新築時にピロティ形式や高基礎で施工 | 坪単価+5万円〜10万円程度上乗せ |
かさ上げは建築確認や道路との高低差、隣地との調整が必要になるケースが多く、着工前に自治体の建築指導課への相談が必須です。
④電気設備・給湯器の高所移設
分電盤やエコキュート、エアコン室外機を浸水想定水位より高い位置へ移設する対策です。1箇所あたり5万円〜20万円程度で、比較的低コストで被害を軽減できます。
リフォーム費用を軽減できる公的支援制度
止水板設置やかさ上げは高額になりやすいため、罹災証明書の被害区分に応じた「被災者生活再建支援金」の活用が重要です。令和2年の法改正により、新たに「中規模半壊」区分が追加され、基礎支援金は対象外ですが加算支援金は受け取れる仕組みになっています。
被災者生活再建支援金の支給額一覧(令和2年改正法準拠)
| 被害区分 | 基礎支援金 (複数世帯) |
基礎支援金 (単身世帯) |
加算支援金 建設・購入 (複数/単身) |
加算支援金 補修 (複数/単身) |
加算支援金 賃借 (複数/単身) |
|---|---|---|---|---|---|
| 全壊 | 100万円 | 75万円 | 200万円 / 150万円 | 100万円 / 75万円 | 50万円 / 37.5万円 |
| 大規模半壊 | 50万円 | 37.5万円 | 200万円 / 150万円 | 100万円 / 75万円 | 50万円 / 37.5万円 |
| 中規模半壊 (令和2年新設) |
支給なし | 支給なし | 100万円 / 75万円 | 50万円 / 37.5万円 | 25万円 / 18.75万円 |
※中規模半壊は基礎支援金が支給されない代わりに、住宅を建設・購入・補修した場合に限り加算支援金のみが支給されます。賃借のまま生活を続ける場合も一部支給対象です。
※半壊・一部損壊は原則として被災者生活再建支援金の対象外ですが、自治体独自の見舞金や修繕費補助が用意されている場合があります。
※【申請期限に注意】基礎支援金は災害発生日から13か月以内、加算支援金は災害発生日から37か月以内に申請する必要があります。期限を過ぎると原則として受給できなくなるため、罹災証明書を取得したら速やかに手続きを行ってください(やむを得ない事情がある場合は自治体が期間を延長するケースもあります)。
止水板・かさ上げ工事に支援金を充てる際の注意点
- 加算支援金の「補修」区分は、止水板の恒久設置やかさ上げ工事にも充当可能な場合が多いですが、領収書等の使途確認を求められることがあるため、自治体窓口へ事前確認しましょう。
- 支援金は罹災証明書の被害区分が確定してから申請可能です。区分に納得できない場合は再調査を依頼できます。
- 基礎支援金は災害発生日から13か月以内、加算支援金は37か月以内という申請期限が法令で定められています。工事の検討・見積もり取得に時間がかかると期限に間に合わない恐れがあるため、支援金の申請と並行して工事計画を進めましょう。
- 支援金だけで工事費全額を賄うのは難しいため、次項の補助金・融資と併用するのが前提となります。
自治体独自の止水板設置補助金・浸水対策助成金
多くの自治体で止水板・止水シートの設置費用に対する補助制度があります(例:工事費の1/2〜2/3、上限10万円〜30万円程度)。制度の有無・上限額・対象工法は自治体ごとに異なるため、必ず市区町村の土木・防災担当課に確認してください。
災害復興住宅融資(住宅金融支援機構)
罹災証明書があれば、かさ上げを含む住宅の建設・補修に対して低金利の融資を受けられます。据置期間が設定されているため、支援金・保険金の入金前でも着工しやすいのが特徴です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 止水板は賃貸住宅でも設置できますか?
A. 原状回復義務があるため、貸主の許可なく固定式の止水板を設置することはできません。取り外し可能な簡易止水板や水のうであれば設置しやすいですが、事前に管理会社・大家に確認してください。
Q2. 被災者生活再建支援金だけでかさ上げ費用はまかなえますか?
A. 全壊・複数世帯でも加算支援金と合わせて最大300万円が上限であり、かさ上げ工事費(300万円〜1,000万円超)を全額カバーするのは困難です。火災保険の水災補償、自治体補助金、災害復興住宅融資との併用が前提となります。
Q3. 被災者生活再建支援金の申請には期限がありますか?
A. はい。基礎支援金は災害発生日から13か月以内、加算支援金は災害発生日から37か月以内が申請期限と法令で定められています。期限を過ぎると原則として受給できなくなるため、罹災証明書を取得したらできるだけ早く申請手続きを進めてください。やむを得ない事情がある場合は、自治体の判断で期間が延長されることもあるため、期限が近づいている場合は必ず窓口に相談しましょう。
Q4. 罹災証明書の判定(半壊・中規模半壊など)に納得できない場合は?
A. 市区町村に再調査を申請できます。写真や修理見積書など、被害の程度を裏付ける資料を提出すると再判定されやすくなります。申請期限が設けられている自治体もあるため早めに動きましょう。
Q5. 火災保険の水災補償と被災者生活再建支援金は両方受け取れますか?
A. はい、両制度は財源も申請先も異なるため併給が可能です。ただし保険会社によっては公的支援金の受給状況を確認書類として求める場合があります。
Q6. 一度リフォームした後、再び水害に遭った場合も支援金は申請できますか?
A. 新たな災害で新たに罹災証明書が発行されれば、被害区分に応じて再度申請可能です。ただし同一災害での重複申請はできません。また、新たな災害についても基礎支援金は13か月以内、加算支援金は37か月以内という申請期限が別途適用されます。
被災後に並行して進めるべき実務チェックリスト
- 浸水直後に被害箇所・浸水深がわかる写真を複数角度から撮影する
- 市区町村の窓口で罹災証明書を申請する(現地調査の日程を確認)
- 罹災証明書の被害区分(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊等)を確認する
- 被害区分に応じて被災者生活再建支援金を申請する(申請期限:基礎支援金は災害発生日から13か月以内、加算支援金は37か月以内)
- 火災保険・地震保険の水災補償を保険会社に速やかに連絡・請求する
- 自治体の応急修理制度・住宅修繕補助金・止水板設置補助金の有無を確認する
- かさ上げ・止水板設置は複数の工務店から見積もりを取り、補助金対象工法か確認する
- 住宅金融支援機構の災害復興住宅融資の利用可否を相談する
- 固定資産税・国民健康保険料などの減免・猶予制度を自治体に確認する
- 工事契約前に、罹災証明書・見積書・領収書など申請書類一式を保管し、支援金の申請期限(13か月・37か月)をカレンダー等で管理しておく
📣読者の皆様へ(情報提供・ご意見のお願い)
当サイトでは、被災された方に正確で実用的な情報をお届けできるよう常に内容の確認・更新を行っております。
「もっと詳しく知りたい情報」「実際の自治体での体験談」「記載内容の誤りや制度変更」などがございましたら、ぜひページ下部のコメント欄よりお寄せください。
【無料】住まいの復旧・リフォーム費用 見積もり比較
災害後の悪質業者トラブルや法外な高額請求を防ぐためには、
大手直接運営サービスと一括相見積もりサービスで、適正な修繕費用相場を把握しておくことが安心です。
Re:est(ニッカホーム)
- 国内最大手リフォーム企業が直接運営する安心感
- 屋根・外壁・床上浸水など被災箇所を幅広く対応
- 押し売りや強引な営業は一切なしで気軽に相談可能
リフォーム比較プロ
- 全国の厳選優良業者から最大3〜4社をスピード比較
- 相見積もりで適正な修繕費用相場がひと目でわかる
- 悪徳業者を徹底排除・実績多数の老舗比較サイト
※どちらも完全無料で利用でき、無理な契約を迫られることは一切ありません。





